藻ずくサンバイズ

やっていきませう

オロロン鳥のはなし「つどえ オロロ~ン!」

オロロロロ~~~~ン!(あいさつ)(?)

 

 

2019年11月10日、葛西臨海水族園にて「つどえ オロロ~ン!」と題して、オロロン鳥ウミガラス)をメインに「人と海鳥の関わり」についての講演会が開催された。

 

ウミガラスはチドリ目ウミスズメ科に属する海鳥のなかまで、日本だと唯一北海道羽幌町の沖合に浮かぶ天売島(てうりとう)で繁殖活動を行っている。現地ではその鳴き声から「オロロン鳥」と呼ばれているらしい。

また、飼育下では葛西臨海水族園アクアマリンふくしまの2園館で見ることができる。アクアマリンふくしまには行ったことがないのでわからないが、かさりんではお客さんからよく「ペンギン」「ペンギンモドキ」と呼ばれ、解説パネルを見ても「カラスなんだー、へー」となってしまい、なかなか正しく認識されない種だと感じている。

 

 

見た目はこんな感じ

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まーペンギンだのカラスだの言いたい気持ちはわからんでもない。

さっきのは冬羽のウミガラスであり、夏の時期は黒い部分が多くなる。

 

7月のウミガラス

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さて、今回はこのウミガラスに関する講演会の参加レポみたいなものになるが、このオロロンの集い、昨年も開催しており私は2年連続2回目の参加となる。

昨年はウミガラスの繁殖地を有する羽幌町と、葛西臨海水族園がパートナーシップ協定を結ぶということで、その調印式が行われた。

 

昨年のようす

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なんだこれは…

 

 

そんな前回を踏まえ、今回のオロロンの集いは、海鳥の研究者と天売島・羽幌町で活動を行っている方々、そしてかさりんの飼育担当者を迎え、様々な視点から海鳥との関わりについて話がなされた。

話の中でも興味深かったのが、「ウミガラスのクラゲを利用した採餌行動」と「人と海鳥と猫の共生」の2つである。

 

 

ウミガラスのクラゲを利用した採餌行動

これは、研究者佐藤信彦さんによって紹介された、アラスカの離島で観測調査を行った際の研究成果である(佐藤さんは海鳥調査で天売島を訪れたことがあり、研究者の立場から島との関わりについても語ってくださった)。

 

海鳥の採餌行動を「海鳥目線で」観測するため、島に生息するハシブトウミガラス*1にビデオロガーを装着し、水中での採餌の様子を記録したところ、クラゲの触手に集まる小魚を捕食するハシブトウミガラスの姿が確認されたという。

詳細は国立極地研究所のプレスリリースにて確認できるが、元々の研究背景はクラゲの大量発生による海鳥の採餌行動への影響に関する調査である。クラゲの大量発生による生態系への影響が懸念される一方、ハシブトウミガラスにとっては恰好の餌場として、プラスの方向にはたらいていることを著者らは結論付けた。

 

ウミガラスはクラゲのことをどう思ってるんだろう…と考えさせられるような、非常に興味深い内容だった。クラゲに集まる小魚と採餌に挑むかどうかの関係図や、実際に記録された動画などをプレスリリースで閲覧できるので、海鳥の視点に立って内容を見てみるといいかもしれない。

 

 

・人と海鳥と猫の共生

生まれも育ちも天売島の齊藤暢さんによる、天売島における諸問題への取り組みについての話。齊藤さん自身は天売島活性化のため、有志を集って「天売島おらが島活性化会議」を立ち上げており、特産品開発や給料を払うのが困難になった話、島にある唯一の高校の話など、様々な活動について語ってくださった。

 

天売島での取り組みの中でも、人と海鳥と猫の共生については、自分たちも見習わなければならないなと感じたほど。

天売島では海鳥の生息数が減少している要因として、島に生息する野猫の存在があった(もちろん他にも要因はあるが)。自分の中では野猫問題と言われると、殺処分や駆除の話、それに反対する動物愛護団体などが思い浮かび、正直あまり良いイメージはなかった。このイメージがあったからこそ、人と海鳥”と猫”の共生という言葉には驚きを隠せなかった。

この問題に対し、天売島では猫に関する飼養条例を制定し、飼い猫の登録制度や野猫への餌付け禁止といったことを掲げた。近年では野猫を捕獲し、ボランティアや動物愛護団体等と協力して人に慣れさせる訓練をした後、飼い主を探して譲渡するという活動をしている。結果として島内で野猫をほとんど見かけなくなったという。

 

 

…あれ、「殺処分」「駆除」という単語が出てこない。しかも「動物愛護団体と協力して」って。自分の中のイメージと真逆のことをやっているじゃないか。そんなことを考えながら聞いてたところ、齊藤さんは「海鳥側、猫側という立場に立つのではなくて、人と海鳥と猫が共生することを考える」と。いずれかの立場に立とうとすると考え方が偏りやすくなるから、フラットな視点で全体の利益を考えることを心掛けていこうと思った。すごい学びだ…

ちなみに始めのうちは反対する島民もおり、野猫の捕獲時に「猫の祟りに遭うぞ」と言われた人もいたらしい。時代を感じる。

また、捕食者である野猫が減ったことで、今度はネズミが増えたらしい。そちらに関しても対策が必要になりますねとのこと。

 

 

 

特に興味深かった話はこの辺にして、それはさておき今回のオロロン、予想以上のボリュームで満腹満足であった。海鳥がもっと好きになり、以前にも増して天売島に関心を持つことができた、そんなオロロンだったと思う。講演後のパネルディスカッションについても、「以前はかさりんでニシツノメドリを飼育していたが、エトピリカとよくケンカをしていた」などと面白い話ばかりであったが、書いてしまうと長くなってしまうのでこの辺で。

そして、講演中に何度も聞いたこの言葉

 

 

「ぜひ天売島にお越しください」

 

 

行こう。

 

 

おまけ:かさりん飯

 

大変美味しゅうございました。

 

 

 

*1:IUCNレッドリストによると、ウミガラスのなかまはウミガラス(Uria aalge)とハシブトウミガラス(Uria lomvia) の2種に分類される。また、日本で見られるのは亜種ウミガラス (Uria aalge inornata) であり、かさりんも亜種の方だった気がする。

ガイドツアーに参加した at 葛西臨海水族園

葛西臨海水族園(水族"館"じゃないよ)通称「かさりん」。

葛西臨海公園の中にそびえ立つガラスドームの存在感がすごい、今年で30周年を迎えた水生生物の展示・飼育施設。めでてぇ。

 

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ででん(2019年4月)

 

で、去年からちょこちょこ通ってるかさりんなんだけど、10月某日に初めてガイドツアーなるものに参加した。平日と休日で内容が違うらしいが、今回はクロマグロ水槽の裏側に案内された(いつもこの内容なのかな?)。

クロマグロ水槽はかさりんの目玉展示であり、ドーナツ型水槽アクアシアターの一角でクロマグロの群れが遊泳している様子を観察できる。

 

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ぶれぶれ(2019年7月)

 

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去年の東京動物園友の会の日にて(2018年9月)

視界不良による衝突防止のため、夕方からはガラス前に泡を噴出させる。

 

 

そんなクロマグロ水槽について今回、スタッフの解説を聴きながら、水槽の上からクロマグロを観察するという機会を得た。ガイドツアー中は撮影NGだったので、その時の写真は一枚も残っていないのよ、ごめんなさいね。

そこで見たこと聞いたことをまとめると、

 

  • 普段は水槽の上にあるライトを点け、クロマグロをより観察しやすいようにしている。クロマグロは光に敏感で、急に消灯したりするとびっくりしてガラスに衝突する恐れがあるため、徐々に明るさを変える。
  • 水槽横から見るとクロマグロの体は光って見えるが、上からだと体の色が周りと同化し、姿がはっきりと見えない。他の魚にもみられる特徴であり、体の色の仕組みを確認できた。
  • 人間の大人と同じくらいの図体をしながら、クロマグロのたまごの大きさは1ミリ程度。生まれたばかりの稚魚でも3ミリ程度の大きさであるが、1年で60センチほどまで成長する。
  • 水槽内に居る一番大きなクロマグロでも5歳くらい。
  • アジ、イカなどを与えている
  • 水槽内は約2,200トンの水で満たされており、何台もの(10台だったかな?)巨大なろ過装置で水を循環させている。

 

なるふぉどーと思いながら聞いていたら、スタッフさんがとある動画を見せてくれた。中身はクロマグロの産卵の瞬間を撮影した動画であり、撮影の成功例がとても少ないため、貴重な映像だという。ちなみにその動画は、かさりんのYouTube公式チャンネルから誰でも見ることができる(このとき公式チャンネルがあることを初めて知った)。

 

www.youtube.com

泳ぎながらまき散らしている白い粒々がたまご。圧巻。 

 

その後はエサの加工場を見学し、飼育展示している生物に与えるエサを見せていただいた。ゴカイを初めて見たので、うねうねしているのが面白かった。ドン引きしてる参加者もいたのはしゃーない。 

 

 

そんな感じで約45分間のガイドツアーは終了。

こういう水生生物を飼育している場所って、普段は綺麗な展示を見る機会しかないけど、バックヤードに回るとまー機械だらけで。工場みたいで表側との差がすごい。バックヤードは結構暑いんですよー、と裏側ならではの話も。

スタッフたちの努力と工夫があってこそ、私たちは生き生きとした生物たちを観察することができるんだなーと、改めて感じることのできたツアーだった。

 

 

 

おまけ:かさりんめし

 

まぐろカツおいしい。くらげ水まんじゅうも好き。

 

トキの森公園(佐渡)0913~0916

トキを見に佐渡へ。

 

 

新潟港フェリーターミナル

 

 

船外の様子

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両津港到着後、バスでトキの森公園へ

 

トキふれあいプラザにて、トキと初対面。

繁殖期が終わり、羽は白と鮮やかな朱鷺色に。顔の真っ赤な成鳥と違い、幼鳥は少しオレンジがかった色をしている。

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トキを見に来たついでにけものフレンズスタンプラリー参加。トキの森公園、トキ交流会館、田んぼアートに設置されたスタンプを押してトキの森公園受付に持って行くと、オリジナルクリアファイルがもらえるとのこと。

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トキちゃ…

 

ちなみにパネルの位置は日によって変わってた。

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今年の田んぼアートけものフレンズとコラボということで、たくさんの稲によってトキとトキのフレンズが描かれている。稲が色あせ収穫の時期ということもあり、見頃はすでに過ぎてしまっていたけど、まぁこれはこれで

 

 

夕暮れ空に指をそっと重ねたら

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スタンプラリーも終わり、トキ資料展示室へ。国内最後の日本産雄トキ「ミドリ」のはく製。

全身が灰色っぽいので繁殖期に亡くなったかと。

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国内最後の日本産トキ「キン」。

飼育下で36年生きた長寿のトキでもあった。

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日本産トキは一度絶滅し、現在は中国から譲り受けたトキを飼育下で繁殖させ、野生に戻す取り組みが進められている。飼育下のトキは野生へ放す前に、野生復帰ステーションにて人や車などに慣れるための訓練を行う。

正門を過ぎて奥に進むと観察棟があり、タイミング次第では野生のトキが見られるかも。

  

遠征中ちゃんと確認できた野生のトキは、稲刈りが終わった夕方の田んぼにて。

佐渡の空に放されたトキは島内だけでなく、本州に飛来した記録もあるらしい。

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トキのテラスにも寄った。

 

 

4日間トキの森公園に通った記録。

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かわいいね 

 

 

名残惜しいけど出航…

池飼育員さんともお話しできてよかった。また行こう(年パス買ったし)。

 

 

 

おまけ佐渡

 

 

大変美味しゅうございました。